病気について

昨日(今日??)大きな揺れの地震がありましたね。みなさま被害はなかったでしょうか??

岡山ではあまり地震を経験することがないので、たまにくる地震にはドキドキしてしまいます。

こんばんは、院長の小野です。

 

前回に引き続き、日常の診察からふと思うことを動物の病気に絡めてみようと思います。

今回長文になってしまいましたので、文字も小さめです。

最後の1/5ぐらいが大事なので、面倒な方はせめてその部分だけでもご覧になってください。

 

この地域は猫免疫不全ウイルス(FIV、いわゆる猫エイズ)に気をつけないといけない地域のようです(どこでもそうなんですが・・・)。

 

FIVは猫に免疫不全を引き起こすウイルスです。ウイルスは血液、脳脊髄液、唾液に存在しますが、主に咬傷を通じて唾液により感染すると考えられています。FIVは一度感染するとまず回復することがなく、すべての猫で持続感染(ずっと体の中に病原体がいる状態)が続きます。2008年の全国疫学調査でFIVの陽性率は23.3%という報告があります。陽性率が高い要因として、ウイルスは咬傷などで簡単に感染すること、持続感染することが関係していると考えられています。FIV陽性の猫において外猫と内猫で比較した場合、外猫は内猫の19倍の頭数であり、さらにオス猫はメス猫の2倍の頭数であったという報告があり、前述の内容を裏付けています。

 

FIV感染による症状は以下の5つの病期を経て進行していきます。

 

①急性期

感染後2週間でみられ、発熱、リンパ節腫大、白血球減少、貧血、下痢などの症状を示します。通常この症状は12ヶ月続きます。

 

②無症候キャリア期

症状がみられなくなる時期です。この期間は数年続きます。

 

③全身性リンパ節腫大期

無症状期から発症期に向かう過程で、全身のリンパ節腫大が起こります。これは数ヶ月続きます。

 

AIDS関連症候群期

全身性リンパ節腫大期に続いて起こる発症期で、発熱、体重減少、口内炎、上部気道炎、慢性化膿性皮膚炎など、免疫機能の低下によるいろいろな症状がみられます。この時期は通常1年程度続き、次の病期に移行します。

 

⑤後天性免疫不全(AIDS)期

著しい体重減少、血球減少、免疫不全による日和見感染(健康状態ではなんてことない病原体に感染してしまう)がみられ、末期の状態です。

 

FIVに感染しているかどうかは、院内にて検査ができます。一般的には感染があったであろう日から60日後がよいとされています。治療については、FIVを狙った治療は確立されていませんが、インターフェロン療法を行う方法があります。その他発症した症状(発熱、感染、口内炎)に対して対症療法を行っていきます。このような病気なので、何よりも感染させないという予防が大事です。外に出さない、避妊去勢をする(他の猫への興味を和らげます)など。

 

でも、多頭飼いでそのうちの1頭が陽性を出してしまうことはあります。こういった場合は基本的には別々で生活させる必要があります。FIV56℃のお湯や、次亜塩素酸ナトリウム、洗剤などで失活します。ですので、感染猫に触った後はきちんと手を洗って他の猫にうつさないようにする、食べた後のお皿はしっかり洗う、毛布などの敷物は洗濯する(もしくは廃棄する)よう気をつけなければいけません。

 

長くなりましたが、暖かくなって猫も動きが活発になってくる時期(?)です。そして発情期です!!猫だけではないですが、動物が健康で長生きするためには飼主さまのお力が必要です。よりよい動物との生活を過ごしてください。

 

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発情期が来てしまったため、先日避妊手術をされた「すー」(ぐったりしているわけではありません、熟睡です)。あんまり飛び跳ねないでください・・・。

| 2014年3月14日 | カテゴリー 病気について  |

日差しが強くなってきましたが、まだまだ肌寒い日が続いています。

春ちゃんと冬将軍が戦っているようです(NHKのあれです)

https://www9.nhk.or.jp/nw9/haruchan/character/

 

前置きが長くなりました。

院長の小野です。

 

今までくだらない??内容ばかりでしたが、たまにはマジメに病気の話をしてみようと思います。

当院は開院してそろそろ半年になりますが、特に難治性外耳炎をみかけることが多いように感じました。

実際調べてみると、当院に来院された動物の17.3%で耳の処置をしていました。犬に限っては24.7%、4頭に1頭の割合で耳になにかしらトラブルを抱えていました。

アニコムさんが発表されているデータでも犬における耳の疾患の罹患率(病気になっている割合)は17.5%と、皮膚疾患に次いで第2位です。

 

外耳炎とは、その名のとおり外耳道(耳の通り道)の炎症です。炎症が起きれば、動物は掻いたり頭を振ったりします。見た目では赤く腫れて、耳垢や膿が出ることもあります。

よくみられる動物の種類として、耳のたれている犬種(スパニエル、レトリバー)、耳の中の毛の多い犬種(テリア種、プードル、シーズー)、外耳道が狭窄(細い)している犬種(シャーペイ)、耳道腺(耳の中の分泌腺)の多い犬種(スパニエル、レトリバー)です。

悪くさせる要因としては、上記のような動物の特徴に加え、水分の侵入、高温多湿があります。

外耳炎の原因として、感染(細菌、酵母、寄生虫)、アレルギー、異物、腫瘍などがあります。

治療は原因によってさまざまですが、まずは「かゆい!!」や「痛い!!」を取り除くようにアプローチしています。外耳炎が慢性化していて、耳が腫れて外耳道が狭窄していたり、耐性菌(抗生剤が効かない細菌)が増えていると治療が難しくなります。場合によっては、手術を必要とすることがあります。

 

というように、よくある病気ではありますが、こじらせるとたいへんです。

当院でも耳の洗浄をしていますが、飼主さまにも自宅で洗浄をしていただくようにお願いしております。私の知り合いの獣医師が耳の洗い方を説明している動画がありますので、どうぞ参考にしてください(おしゃれな音楽も流れます)。

 

 

ただし、あまりに炎症がひどくて痛いのにグジュグジュ洗うとさらに痛みを悪化させることがありますので、ご注意ください。

もちろん、「これどうなん??」や、「耳の毛がすごいねん!!」、「家では洗えんわー」など対応いたしますので、ご気軽にご相談ください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

 

| 2014年3月07日 | カテゴリー 病気について  |